塾長の松下です。
現職の小中学校の先生や、退職された先生が中心となって
公立高校の入試において、新しく導入されたチャレンジテストの仕組みや問題点などについて
意見交換などをおこなう貴重な会議でした。
チャレンジテストについては、穴だらけの制度であることは否定できません。
その欠点を簡単にいくつか挙げますと
① チャレンジテストの学校平均を基準に内申が決まりますので、平均の低い学校に通う学生は、定期テストなどで好成績をとっても、良い内申点がとりにくくなります。
② 3年生のチャレンジテストの実施日が6月ですので、クラブ活動などを頑張っている子どもは本格的な受験勉強ができていない時期に成績がある程度決まってしまいます。
③ これほど重要な意味をもつ試験を民間の業者が作成することに問題はないのか。たとえば、問題の質や不正など。答案用紙も本人にはかえってこないで、結果だけを知らされています。
①に関しては、大阪の中学校で平均点の低い中学校から高い中学校に転向する生徒もでてきているようです。また、学校内では、成績のいい子どもが成績の悪い子どもに対して「お前がテストにくると平均点が下がるから来るなよ」といったようないじめにつながるようなことが起きています。
また、中学校間でもチャレンジテストに対する取り組み方に大きな差があります。チャレンジテスト対策として本格的な対策授業を行っている学校もありますし、まったく行っていない学校もあります。
さらに、テストは各中学校で行われるため、入学試験ほどの厳重な試験監督をしないため、カンニングなどの不正行為を防ぎにくいということもあります。
私は以前から、中学校間の学力差が問題だと考え、言い続けてきました。同じ学力の子どもでも、通っている学校の学力レベルで内申点が変わってくるからです。入学試験における内申点の割合がかなり大きく、合否を左右する大事な内申点が、このような不公平のある方法で決められるのは受験する子どもたちがあまりにもかわいそうでした。
ですから、この不公平をなくすために新しい制度を導入すること自体は大賛成でしたが、その内容が欠点が多すぎて、逆に子どもたちに大きな負担を背負わせる結果となっています。この制度を導入する前に、きちんとした議論がなされたのか疑問です。
大阪の入試制度はコロコロ変わっています。制度を変えることは、よりよくするために必要なことですが、こんなに変わってしまうということは、新しく取り入れた制度が欠陥だらけで各地で不満や反発が起きるため、やむを得ず変えてるのだと思います。
こういったことでの一番の被害者は子どもたちなのです。子どもたちにとって最適だと考えられる制度を作らなければなりません。そのためには、現場にいる先生方の意見だけでなく、塾や予備校などの教育関係者などの意見も幅広く取り入れて議論する必要があります。
このチャレンジテストの制度も数年後には、各地の反発があり、なくなる可能性は高いでしょうから、少しでも早くきちんとした議論を進めてほしいですね。
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