塾長の松下です。
中学2年生か入塾してくれた生徒がいました。
小学生の3年生ころから勉強が理解しにくくなり、中学生になってからはどの教科も
ほとんどわからなかったようです。テストの点数も2学期になる頃には、1ケタの点数がならぶようになっていました。
実際に指導を始めたのですが、計算力・暗記力・読解力など、ほぼすべての学力が低く
中学校の授業を理解するのは困難な状況でした。
初めの3週間ほどは、小学校3年生の算数から中学1年までの数学をまんべんなく学習し、
その中で特にどういった点が問題なのかを見つけていくことにしました。
また、勉強に対しての不安や悩みなど、いろんな話をしました。
その生徒の本当の気持ちは
「わからないと言ってしまったら、そんなこともわからないのかとバカにされるので、わからないと言えなかったこと」「口では、勉強なんでどうでもええねん、と言ってたが、心の中では勉強できないことが悔しかったこと」「特に中学校になってからの授業がわからなさすぎて、毎日授業を受けるのが苦痛でしかたなかったこと」などでした。
そこで私は、
「わからないから教えて」と質問することの大切さを伝え、わからないときはわからないと、せめて私にだけは正直に言ってくれるよう約束してもらいました。
そして、いきなり中学生の勉強をするのではなく、つまずいている部分から段階的に学習することで、勉強はまったくわからないものではなく、頑張れば理解できるものなんだという意識を変えていきました。
少しずつ勉強のスピードも速くなっていき、学校の授業に追いつき始めました。
ある日、塾に来るなり「今日学校で出題された問題、全部できた!」と喜んで私に数学のノートを見せてくれました。ずっと、何もわからないまま、ただ黒板に書かれた文字や記号をノートに写していただけの苦痛で退屈だった授業が、「最近は、先生の言ってることもわかるし、問題を解くのも楽しい!」と笑っていました。
わからない状態で授業を受けたり、勉強を続けるのは本当にしんどいものです。
そんな状態のままで「勉強をしなさい」と言われ続けると、子どもはもう勉強と向き合うことができなくなってしまいます。
「わかるって楽しい」「自分も勉強ができるんだ」
こういう意識にさえ変えることができれば、子どもはどんどん成長します。
この生徒も、一度意識が変わってからは、わからない問題がでてきても、それまでは
「どうせわからないから」とすぐに諦めていたのが、わかろうと努力する粘りが出るようになりました。これは、勉強に対する自信が芽生えたことと、わかることが楽しいと理解できたからなのです。
ですから、だれかに言われてするのではなく、自分の意志で勉強に取り組むようになり、見事志望校に合格することができました。
私が指導するうえで一番重視しているのはこの点です。
「勉強がしんどくなくなった」「塾に行くのが楽しい」
これからも、そう言っていただけるよう精進していきます。
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